本研究は、18世紀後半から19世紀前半の様々な「他文化」を国内外に抱え込んだイギリス・ロマン主義の時代の文学が、他地域の文化・文学に接触し、変容し、新しい形態を生み出す過程を、文学空間の外部へと開いて総合的に研究する試みである。イギリス・ロマン主義の文学が、イギリスを超え、ヨーロッパへ、さらにヨーロッパ文化を前提としない文化圏・文字圏の後継者と「協働」的な影響関係の中で、新しい変容と創造を生み出すとき、きわめて現代的な問題が浮かび上がる。その様相を検証することで、イギリス・ロマン主義文学が、21世紀的な人文知のあり方において有効なモデルであることを確認した。
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