本研究課題の実施にあたり、平成29年度は以下のことを行った。 (1)引き続き、英米のフェミニズム童話の収集を行った。(2)比較対象のため、フェミニズム童話作品以外の、ジェンダーにとらわれない女性像を扱った英米および日本の作品の収集を行った。特に今年度は、ディズニーアニメ関連資料の収集にも力を入れた。(3)収集した作品の分類・分析を行い、データベース化を進めた。(4)フェミニズム童話の理論的考察および英米児童文学におけるフェミニズム童話の意義についての考察をさらに進めた。(5)本研究成果の一部にもとづいた論考「おとぎ話とフェミニズム童話」を執筆し、研究書(共著)『グリム童話と表象文化ーモティーフ・ジェンダー・ステレオタイプー』として出版した。(6)本研究成果の一部を国内外の学会で発表した。① "Children's Literature as Remedies for Children: The Child Misfit and the Adult Healer and Mentor in The Witch of the West Is Dead" (The 23rd Biennial Congress of IRSCL)、②「フェミニズム童話と「アリス」」(日本ルイス・キャロル協会)(7)一般市民を対象とした講演を通して本研究の成果を社会に還元した。「ディズニー作品に見るヒロインの変遷~シンデレラからモアナまで~」(糸島市男女共同参画センター) 以上の研究活動により、フェミニズム童話の全体像をかなり明らかにすることができた。また、現代英米児童文学作品におけるフェミニズム童話の位置づけや意義についてもある程度明らかにすることができ、本研究課題解明のための理論的基盤を築くことができた。本研究課題のさらなる解明に向け、今後も多角的な側面から本研究を継続発展させていく予定である。
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