研究課題/領域番号 |
26370285
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
吉本 和弘 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (90210773)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ヴィクトリア朝 / 写真術 / ルイス・キャロル / アーサー・マンビー / ジュリア・マーガレット・キャメロン / 写真と文学文化 / ラファエル前派絵画と写真 |
研究実績の概要 |
平成26年度に英国ケンブリッジ大学レンライブラリー、オックスフォード大学クライストチャーチ・ライブラリー、ブラッドフォードのメディア・ミュージアム、ワイト島のジュリア・マーガレット・キャメロン邸の資料室、ロンドンのテート・ギャラリー、ナショナル・ポートレート・ギャラリーにてヴィクトリア調期の写真資料を調査した。平成27年度9月には調査対象である作家ルイス・キャロルの研究大会に参加するためケンブリッジ大学ホマートン・カレッジを訪れ研究の動向を調査し、平成28年3月には、アメリカ合衆国テキサス州のテキサス大学・オースチン校のハリーランサム・センターにて、ルイス・キャロルやジュリア・キャメロン、さらにG. レイランダー、H.P.ロビンソンらの資料を調査した。これらの資料収集と並行し、研究対象の一人であるアーサー・マンビーに関するこれまでの研究成果をまとめ、一冊の書物として、『美しき汚れーアーサー・マンビーとヴィクトリア朝女性労働者の表象』として春風社より出版した(2015年3月31日、ISBN9784861104428)。また、ヴィクトリア朝期の絵画芸術の運動であるラファエル前派と写真との関係について考察し、その 研究成果を日本ヴィクトリア朝文化研究学会のだい5回全国大会にて口頭発表した(タイトル「女性労働者がレディに変身する時ーアーサー・マンビーにおけるラファエル前派的なもの」2015年11月21日、同志社大学今出川キャンパス)。これについては今後文書化する予定である。今後、これまでに集めた資料を整理しまとめ、これまでの研究成果と照らして、独自の研究をまとめて出版して行く予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目と2年目に、関係資料の保管場所を現地調査して、出来るだけの資料を集める作業を行い、完全とは言えないまでも、ほぼ見たい資料を見ることができた。その作業と並行して、これまでの研究成果としてのアーサー・マンビーの写真コレクションに関する総合的な書物を出版できたことは、一つの成果として大きいと感じている。今後、ルイス・キャロルとジュリア・マーガレット・キャメロンの写真について、それぞれ別か、二者を総合した形かのどちらかで、まとまった書物としてまとめてゆきたいと考えている。残り一年の研究期間でそれを仕上げるのは少々難しいかもしれないが、成果発表などを行いながら、徐々に文書化してゆきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに集めた写真の資料を精緻に調査し、ヴィクトリア朝期の文芸の流れ、特にアルフレッド・テニソンとキャメロンの関わりや、ラファエル前派の絵画運動なども絡めて、当時の文化全般に対して写真が及ぼした影響について考察して行く。これまでに収集した写真史研究の文献や、写真に関する哲学的考察などの文献に照らして、独自の視点を発見し、これについて主張するための研究発表や論文執筆を進めてゆきたいと考える。
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