研究実績の概要 |
28 年度は以下の作業を行った。イギリス・ロマン主義文化なかでもChristopher Smart (Jubilate Agno, 1758-63 等), Blake(後期預言書The Four Zoas,1797; Milton,1804; Jerusalem, 1804), Coleridge (Notebooks 等), Wordsworth (Poems in TwoVolumes, 1807 等)を博物学的言説・生命科学的言説の視点から捉え直した。Blake 作品の分類学的特徴および細胞病理学からの影響、Wordsworth が上掲作品に付した序文に見られる文学ジャンルという分類学へのこだわり等々、ここにあげた詩人たちが本研究課題とどのような仕方で相互照応・参照もしくは並列的関係を結んでいるのかを考察した。その現れ方は複雑にして屈折しているので注意深く慎重に検討した。本年度はさらに本研究課題の視点から考察の対象を、Adam Smith, Erasmus Darwin やMalthus の人口論、Wilberforce の宗教的政治的パンフレット、Reynolds の美術批評等にも拡大した。そうしてそれぞれの時代背景と文脈を考慮しつつ、新しい解釈を試みた。さらに文学ではCharlotte Smith による、植物学や昆虫学・鳥学などの知識を駆使した少年少女むけの博物誌Conversations Introducing Poetry (1804), A Natural History of Birds (1807)など、これまで先行研究の少ない作品を本研究課題の視点から精読した。
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