本研究では、Winifred HoltbyとVera Brittainという大卒のジャーナリスト兼作家が多数の定期刊行物に執筆した記事を渉猟・分析した上で、これらの作家の小説テクストおよびそれらを原作とする映画テクストを検討することによって、彼らが、同時代のハイブラウの作家とブラウの戦いを展開しながら、もう一方で、大衆教養主義という言葉に代表されるような、教養を身につけて社会的上昇をめざす下層中流階級のミドルブラウの読者にアピールする執筆活動を行って、イギリス社会が福祉国家へと向かう戦間期の動きの一翼を担っていたことを明らかにした。
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