舞台上の役者が登場人物を具現化する際、役者の性が登場人物の性と異なると、観客は性別の「ずれ」を認識することになる。これが、異性配役という趣向により生じる独特の効果として現れる。本研究では、シェイクスピア作品上演における観客側、つまり受容側を研究対象とし、受容における異性配役の効果を検証した。特に、異性配役が誘発する観客の「笑い」、異性配役が醸し出す「魅力」に着目し、基盤となる文献調査から始まり、ファンクラブへの調査、観客インタビューを含めた実地調査を実施した。その結果、異性配役に関する観客論を実証的な方向で発展させ、本来捉えどころがない観客の実態を把握する上での有意義な考察が行われた。
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