研究課題/領域番号 |
26370305
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
英米・英語圏文学
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研究機関 | 神戸女学院大学 |
研究代表者 |
和氣 節子 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (00248113)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | コールリッジ / 空海 / 美的教育 / ドイツ超越論 / 遊戯(美なるものとの遊び) / 真言密教 / 『理趣経』 / 「視覚的言語(visual language)」 |
研究成果の概要 |
当研究ではイギリスロマン主義の批評家S.T. コールリッジと、日本真言密教の祖、空海に共通してみられる超越論的要素を分析する。 コールリッジによると、宗教では「普遍なるものの瞑想」により美を体験することで、カントがいうように私利私欲を乗り越え、「全体の中に在る個」として行動することが求められる。コールリッジと空海にとって、「永遠なるものと共に在る」現実を観ようとする我々の意志は、「感覚や感覚機能によってではなく、ただそれらを通しそれらをもって」観ることができる我々の先験的美的能力の証しである。人々を「全体の中に在る自己」を観る真の幸せの日常的体験へと導くことが彼らの執筆目的であったといえる。
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自由記述の分野 |
人文学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
キリストの福音の核となる、我々被造物と父なる神との人格的繋がりを語るような言葉は真言密教にはみられない。しかし、コールリッジと空海はともに永遠を視覚化する言語(「視覚的言語」“visual language”)を用い、「感覚や感覚機能によってでは決してなく、ただそれらを通しそれらをもって」、「永遠なるものと共に在る」美しい現実を捉え、真の幸せをつくりだせる我々の潜在能力を引き出すことを宗教教育の要とみなしていることを指摘した。ロックの経験論では十分に説明しきれない、超越論の「視覚的言語」が描く普遍的喜びの体験は、古今東西を通じて美的教育の重要性を示し、現在の教育が進むべき方向を示唆している。
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