研究課題/領域番号 |
26370310
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
浜名 恵美 筑波大学, 人文社会系, 教授 (20149355)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | シェイクスピア / 超言語上演 / 世界シェイクスピア上演 / パフォーミングアーツ / 上演研究 / 異文化理解 |
研究実績の概要 |
4月にインドの国際学会で蜷川幸雄演出歌舞伎版『十二夜』に関する発表を行い、本研究課題の成果を公表することができた。 6月に、IAUPE(International Association of University Professors of English)に、ポーランドと日本の推薦者2名の協力を得て入会し、国際的に著名な研究者と交流する機会の増加を図った。平成28年7月末に開催される学会のシェイクスピア部門で日本の上演について発表することになった。 8月はロンドンとSCOT Summer Festival(利賀)で上演研究を実施した。アメリカ、ポーランド、レバノン等の研究者と連携して、第10回世界シェイクスピア会議(World Shakespeare Congress)のパネルの準備を推進し応募した。遺憾ながら、応募数が非常に多く不採択であった。善後策として、本研究の推進に資するセミナー “King Lear and its Versions” に応募し、すぐ採用された。平成27年度は、シンガポールの演出家オン・ケン・セン演出Lear Dreamingに関する発表論文の執筆準備を進めた。特に、超言語実践を構成する記号論的リソースと生態的(環境的)アフォーダンスの後者の重要性を痛感した。日本の英語圏文学研究では演劇研究の分野でも、いまだにテクスト分析が主流であり、欧米で台頭しているscenography(装置、照明、コンピュータ・グラフィックス等を含めた舞台芸術のデザイン)への認知心理学、脳科学、現代思想等をとりいれた研究が著しく「遅れている」ことに気がついた。そのため、生態的アフォーダンスの分析を重視した論文の執筆を進めた。 項目を執筆したThe Cambridge Guide to the Worlds of Shakespeare, 2 vols(2016)が出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
WSCのパネルは実現できなかったが、セミナーのメンバーに採用された。その口頭発表論文の準備の過程で、生態学的アフォーダンス研究の重要性(と日本における当該分野の研究の遅れ)を認識し、新たなアプローチに着手することができた。 IAUPE(International Association of University Professors of English)への入会を認められ、平成28年度7月末に開催される国際学会のシェイクスピアの部門で口頭発表することが決定された。 平成27年度末時点では出版されていないが、ポーランドの学術誌と論集に日本のシェイクスピア上演に関する2本の英語論文を執筆した。学術雑誌の方は平成28年度(平成27年度の予定であったのだが、編集委員の多忙等のため出版が遅れている)、論集は平成29年度に出版予定である。
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今後の研究の推進方策 |
7月下旬に開催されるIAUPE(International Association of University Professors of English)の国際学会のシェイクスピアの部門で口頭発表、7月下旬から8月初旬に開催される第10回世界シェイクスピア会議(開催地:連合王国ストラットフォードとロンドン)の『リア王』の翻案に関するセミナーにメンバーとして参加し、超言語実践の観点から有効なシェイクスピア上演のあり方についてその時点で最善の総括を行い、その成果を英語の論文集の編集・出版またはインターネット公開の準備を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:平成28年度に予定している研究遂行のために予算を残すこととした。円安が続いており、航空券はもとよりイギリスの宿泊費・演劇チケット代金・物価全般は高額であり、ロンドンとストラットフォードという世界でも屈指の観光地でもある場所で開催される二つの国際学会に参加し、さらに1週間の研究を加えて、合計3週間の滞在をするためには、次年度請求額の70万円では全く不足する。このため、約25万円を残した。
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次年度使用額の使用計画 |
上記のように、7月末から8月上旬にイギリスで開催される二つの国際学会への参加と1週間の海外研究活動のために有効に使用する。
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