全体のテーマは文学地理学(literary geography)で、とりわけ「証言」に焦点をあてた。テーマに関する学術史的、理論的、方法論的知見を共同研究で深める一方、証言の文化地理学としてはまず暴力の地理学、さらにはホロコーストの歴史地理学に焦点をあてた。その際、暴力の地理学についてはランドスケープと場所における音とリズムに関する文化地理学の研究を援用した。ホロコーストについては主に英語で書かれたホロコーストの空間史を巡る文化地理学の議論を用いて、否定や拒絶の政治学、サバイバーの証言、暴力の現場を訪れる観光の証言などについて考察した。
|