本研究は、エズラ・パウンドの詩と詩論に見出される「アメリカ建国の父祖たち」の評価の意味を、彼の「高利」批判との関連から明らかにし、また彼らを儒教およびファシズムに結びつけようとする試みを、「割符」の比喩で示しうる彼の創作原理の変化と関連づけて考察することを目的とした。研究の結果、パウンドのジェファソン、アダムズ評価が彼の「高利」批判と連動すること、彼の儒教評価とファシズム賛美は彼のジェファソン、アダムズ評価とも関連すること、彼が言及する儒教由来の「割符」の比喩が、これらの関連づけを、また、同時期に顕著になる『詩篇』の創作原理「表意文字的手法」の変化を説明するのに有益であることを確認した。
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