未評価の「詩人」ヘミングウェイを周知、また、その詩の「歌」としての特性、及びパウンドから伝わった日本原理を解明する本研究の成果を周知、さらに、後続研究を定めた。学術書1冊、論文2編、proceeding3編、学会誌1章出版、国際学会基調講演1回、国内学会の招聘講演2回、国際・国内学会発表各1回と成果を周知した。 ヘミングウェイの詩における「間」を俳句や墨絵と関連づけた論文を、多国の研究者によるモダニズム以後の日本と西洋の関係を学際的に読み解くPeter Lang社出版の学術書に掲載。本書編集も担当。『ヘミングウェイ研究』の論文は「間」、言葉の音楽性、狂言的「笑い」の詩の文体への反映を扱った。国際ヘミングウェイ学会で、詩と短編の「間」と「空」を発表。パウンドの日本理解の原点フェノロサを検討し、ヘミングウェイ詩の源流に切りこみ、同時に、パウンドから伝えられた能楽に新視点を開いたイェイツとパウンドの狂言要素も検討し、モダニズム以後の欧米での日本の意義を深めた。 過去2年の研究が認められ、国内外で3回講演に招聘。proceedings出版。バルセロナでのイェイツ・シンポジウムに基調講演者として招聘され、イェイツ、フェノロサ、ハーンについて講演。この論文はコーク大学より出版予定。同シンポで、イェイツ作品を演出した大蔵流狂言師の講演の通訳と論文翻訳・監修。さらに来年度日本での国際シンポ企画。また、2017年日愛外交関係成立60周年を期し、イェイツとハーンの作品を狂言化、海外公演を企画・運営、そこで講演も担当する。 J.F. ケネディ図書館での草稿調査は論文等に反映させたが、未発表の詩草稿等を見つけたにも拘わらず、版権の処理が複雑化、2著作出版が滞っている。概して、当初の計画以上に国際的に出版、講演が行え、そのお陰で、特に日愛周年事業で狂言と歌のテーマを深めた公演等、新研究の礎も築いた。
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