研究実績の概要 |
平成26年度から29年度にかけて、次のような役割分担のもと研究を実施した。(1) 南ウェールズと水俣における公害問題とモダニズム(担当:山田雄三) (2 ) オセアニア地域におけるポスト石炭産業と文学(担当:小杉世) (1) 南ウェールズにおける石炭作業とモダニズム(担当:山田雄三):南ウェールズを中心とした文献を整理するうちに、南ウェールズ地域におけるbilingualismの問題の重要性に気づいた。そこでウェールズ語と英語とのbilingualismもテーマとして取り上げた小説家Margiad Evans, Emyr Humphreys等の小説について、その共同体感覚とbilingualismとの関係について分析を行った。 また、水俣に関しては、第二次産業の共同体と水俣に関わったモダニスト作家を中心に研究を行った。彼らの執筆活動のなかから、 多様な文学のフォームが生まれている。そのなかでも、労働者や水俣病患者を表象する手法として、ルポルタージュ形式や「わたし」語りが誕生した経緯を明らかにした。 (2) オセアニア地域におけるポスト石炭産業と文学(担当:小杉世):小杉は英米による核実験が行われたキリバスのクリスマス島で調査を引き続き行った。昨年度行ったキリバスの民間人被ばく者のインタビューとその他の記録のキリバス語から英語への翻訳編集作業を現地の協力者と共に行い、おもに除染に関わる記憶をめぐる補足の聞き取り調査を行った。取材映像の英語字幕作成やインタビュー集の注釈作業など、まだ継続して情報を補足しながら研究成果をまとめていく必要があるが、成果報告を出版物とウェブで行うことを予定している。マーシャル諸島の核実験や地球温暖化に関する文学作品の分析も行った。
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