研究課題/領域番号 |
26370317
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
渡辺 克昭 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (10182908)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ヒューマン・エンハンスメント / アメリカ的想像力 / ドン・デリーロ / 幸福の追求 / 進化 / 死 / アメリカ文学 / 生命の保守 |
研究実績の概要 |
本年度の研究成果の一端として、日本アメリカ文学会東京支部シンポジウム「現代アメリカ小説における「保守」の諸相」(2016年12月10日、慶應義塾大学)において、「生命の保守/保守の生命―デリーロの新作における永遠のゼロ」と題する研究発表を行った。本発表では、従来の「保守」をめぐる議論において等閑視されてきた「生命の保守」というバイオポリティカルな視座を提示し、科学技術が進歩を遂げた未来に蘇るべく、人体冷凍保存術に魅了される大富豪と息子の関係を分析することにより、本来的な意味での保守が二十一世紀にどのようなかたちで命脈を保ち得るのか、「永遠のゼロ」としての生命の保持が炙り出す逆説をデリーロの晩年のスタイルに探った。また、アジア系アメリカ文学研究会第24回フォーラム(2016年9月25日、神戸大学)においては、拙著『楽園に死す―アメリカ的想像力と〈死〉のアポリア』(大阪大学出版会、2016年)で提示したデリーロ文学の見取り図を拡充すべく、「ドン・デリーロにおける〈死〉のデザイン―オリエンタルな意匠をめぐって」と題する特別講演を行った。本講演では、「ヒューマン・エンハンスメントの進化」の極致としての生命の再生を描いた『ゼロK』にも言及しつつ、デリーロが描き続けてきた死のデザインにおいて、〈死〉の恐怖を相対化すべく、オリエンタルな眼差しがいかに重ね書きされ、どのような効果をもたらしているのかを考察した。講演内容は、同タイトルの論文として『AALA Journal』 第22号(2016年、pp. 29-55.)に掲載された。以上に加えて、『アメリカ文学研究』第53号(2016年)において、下河辺美知子著『グローバリゼーションと惑星的想像力―恐怖と癒しの修辞学』(2015年)に関する書評を執筆し、本研究の射程をグローバリズムに関する問題系との関わりにおいて再考した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初の計画通り、年次計画を遂行することができ、現時点において、計画は概ね達成されつつある。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況を的確に把握し、研究が当初計画通りに進まないときの対応としては、分析対象とする作家、メディアをさらに絞り込むなど、計画全体の整合性が損なわれないよう、適宜柔軟に組み替えを行い、研究期間中に必ず一定の成果が得られるよう調整をはかりたい。
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