研究課題/領域番号 |
26370321
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
山城 新 琉球大学, 法文学部, 教授 (80363654)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ピーター・マシセン / 環境文学 |
研究実績の概要 |
研究対象であるピーター・マシセンが2014年4月に亡くなった為(享年86歳)、当初予定していたインタビューが不可能となり、初年度は資料収集と資料解題に注力した。特にマシセン関連の主要な作品を再読し、20世紀アメリカ文学論の構築に必要な議論の準備を進めた。収集したのは、モダニズム研究を中心に、20世紀後半のアメリカ文学研究に関わる資料である。 2014 東アジア環境文学国際シンポジウム(International Symposium on Literature and the Environment in East Asia (ISLE-EA)が11月22日―23日の日程で沖縄県の名桜大学で開催され、運営委員として携わる傍ら、国内外の環境文学研究者と最新の研究動向について意見交換した。 2014年10月に単著American Sea Literature: Seascapes, Beach Narratives, and Underwater Explorations をニューヨークのPalgrave Macmillan社より出版した。本書において、マシセン後期の名作Far Tortuga(1975)を取り上げ、20世紀的アメリカ海洋文学の一つの到達点として、言語表現技法を議論している。すなわち、ナレーションによって風景が叙述されるというよりも、海環境を構成する水、風、人間を含めた生き物たちが、音や視覚的描写によって即物的に海の風景(海景)が示されている。航海記や探検記を素地として作られていく19世紀的アメリカ海洋文学の修辞学的伝統が、20世紀的環境問題や人種問題と関連づけられながら、モダニズム的手法により表現がそぎ落とされ、海環境が主体として表現し直されていると議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたインタビューが不可能になったが、その分集中的に資料の収集、整理と解読に充てることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の27年度の計画どおり、昨年度収集した資料を整理し解読を続けながら、議論をまとめる。マシセン関連の資料を更に収集するために、テキサス大学図書館を訪問する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
図書発注に時間を要する為に、実際の予算執行額と年度末残高の正確な把握が遅れ、残額が生じることになった。
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次年度使用額の使用計画 |
生じた残額6,439円は資料収集の予算として次年度に計上して執行する。
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