本研究では、植民地時代から建国時代にかけての初期アメリカ文学の中に、ニューネザーランドに由来する「寛容主義」の伝統を辿ることによって、ニューヨーク文学のジャンル性の検証およびその歴史的展開の考察を試みた。その結果、ニューヨーク文学が、個人(self)を語ることよりも、むしろ、国家を語ることにより多くの関心を抱くジャンルであること、また、アメリカの歴史的展開を(ピルグリム・ファーザーズを起源とするニューイングランドのWASP中心主義的歴史観とは異なる)多元民族主義から民主主義へのパラダイム・シフトとして記述する国家言説として体系化し得ることが確認できた。
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