本研究は、アメリカを国あるいは大陸という枠組みではなく海に囲まれた「島」として捉える惑星思考的視点に立ち、19世紀後半から20世紀初頭のハワイにおけるアメリカ演劇および日本人移民による演劇文化を再現・分析した上で、アメリカ大陸本土を中心とする従来の演劇史を再考することを目標とした。 成果として、(a)先行する日米の演劇研究・移民研究では軽視されたハワイ初期演劇文化の諸相を明るみにした。(b)従来の演劇史はマイノリティの活動をすくい上げた一方で二分法的歴史観が色濃く残るが、本研究が明らかにしたハワイ初期アメリカ演劇文化はこの二分法から逸脱した存在であり、演劇史再考を促す第3の視点を提案できた。
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