本研究では、19世紀から現代のアメリカ文学・文化におけるモビリティ(移動性)の歴史的経緯を繙きながら、モビリティの修辞的意義を再考しつつ、いかにこの概念がアメリカの国家的イデオロギーと連動していたかを再検討することを目的とし、「性差・セクシュアリティ」「人種」の批評的枠組みおよび「大陸」「諸島」の地理的概念を援用しながら考察を深めてきた。研究代表者の大串は主に移動が性差によって異なる意味を持つことを考察し、また研究分担者である新田は移動手段が進化したモダニズム期における人種と移動を分析し、同じく研究分担者の下河辺は島を中心に海洋という移動の場のもつ意味を再考察した。
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