研究課題/領域番号 |
26370330
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
庄司 宏子 成蹊大学, 文学部, 教授 (50272472)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アメリカ文学 / ポストコロニアリズム / 植民地主義 / カリブ海沿岸地域 |
研究実績の概要 |
当該研究は、19世紀半ばのアメリカ合衆国が、自国の南方に位置する環カリブ海地域に対して行った併合や経済的支配の野心を秘めた帝国主義的進出が、同時代の文学的・文化的想像力にどのような影響を及ぼしたのか、ポストコロニアリズムの視点から考察しようとするものである。具体的には、19世紀アンテベラム期のアメリカの帝国化と国家の自己イメージの形成が、キューバ、プエルトリコ、ハイチ、メキシコなどカリブ海地域との関係において構築されたことを、国内南部の奴隷制度の動向に注視しながら文学の言説のなかに辿る。併せて、現代にも続くアメリカとこの地域とのコロニアル/ポストコロニアル的関係の起源を建国初期に遡って検証し、現代アメリカに向けられる「唯一の帝国」論を歴史的視座から批評的に検証することを目的とする。 平成26年度は上記の研究目的を遂行するべく、これまで蓄積した研究を土台とし、また新たに収集した一次資料や研究書を読み進め、論文をいくつか執筆した。この論文をまとめ、研究成果として『アメリカスの文学的想像力:カリブからアメリカへ』(彩流社)として出版した。さらに、カリブ海地域とアメリカをつなぐこの地域を、15世紀以降の植民地の歴史と奴隷制度を共有するアメリカスをひとつの文化的交渉圏として考察し、この地で生まれた人種に関する見方、文化、言語などアメリカスの世界を〈クレオール〉の世界として総体的に記述する視点をもつに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該研究の成果として『アメリカスの文学的想像力:カリブからアメリカへ』(彩流社)として出版し、アメリカと同じくカリブ海地域のアングロ・アメリカとの植民地時代を通じた交流とその文化的影響関係へとさらなる研究テーマを深めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ジャマイカ、バハマ諸島からアメリカのヴァージニアやサウス・カロライナに伝承される共有の音楽と舞踊のなかに植民地時代の奴隷文化の痕跡を辿る研究をする予定である。
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