本研究は、19 世紀半ば以降のアメリカ合衆国と環カリブ海地域との関係が、文学的想像力に及ぼした影響を考察した。具体的には、19 世紀アンテベラム期のアメリカの国家の自己イメージの形成と1791年に始まるハイチ革命との関わり、ハイチ革命がアメリカ南部の奴隷制度に及ぼした影響、ジェファソン政権に始まるアメリカのハイチ非承認の言説に注視しながら、ハイチ革命がアメリカの文学的想像力に及ぼした影響をエドガー・アラン・ポーの文学の言説のなかに辿った。併せて、現代にも続くアメリカとカリブ海地域とのコロニアリズム/ポストコロニアリズムの関わりを、ジャマイカ系アメリカ人のミシェル・クリフの小説に辿った。
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