研究課題/領域番号 |
26370331
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
坂野 明子 専修大学, 文学部, 教授 (20153900)
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研究分担者 |
伊達 雅彦 尚美学園大学, 総合政策学部, 教授 (00254889)
佐川 和茂 青山学院大学, 経営学部, 教授 (20137871)
大場 昌子 日本女子大学, 文学部, 教授 (80160612)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アメリカ文学 / ユダヤ / ホロコースト / 表象 |
研究実績の概要 |
平成27年度は4名による定例の研究会を3回実施し、各自の研究担当分野に該当する作家および作品について発表し、質疑応答、および議論によって、研究領域への理解を深めた。具体的には7月に坂野がマイケル・シェイボン の The Yiddish Policeman's Union を取り上げた。本作はホロコーストを生き残った人々がアラスカに移住し、コミュニティを形成しているという設定の空想歴史小説的要素が濃厚な作品ではあるが、イスラエルかディアスポラのいずれを選択するかという現代のユダヤ系の人々にとって重要なテーマも含む作品となっている。12月には伊達が、ホロコースト生存者の苦しみをコミックで描くという画期的な試みを実践したアート・スピーゲルマンの『マウス』を取り上げ、文字作品とは異なる表象の可能性について吟味した。3月には大場がマーシー・ハーシュマンの Tales of the Master Race について報告した。本作はユダヤ系女性作家がドイツ人の立場からホロコーストを描くというユニークな試みであり、ホロコースト表象の可能性を広げるものとなっている。このように着実に研究会を積み重ねる一方で、一般市民に発信することも重要と考え、11月には専修大学で「アウシュビッツ解放70年~文学と映画に見る記憶の継承」というタイトルで公開講座を開いた。聴衆の数も多く、関心も高く、このような企画の重要性を再確認することとなった。また、出版物として、日本ユダヤ系作家研究会の企画による『ホロコーストとユーモア』(仮題、28年10月出版見込み)に佐川、伊達、坂野の3名がそれぞれの関心に沿って、執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
4名による読書会は途切れることなく継続中であり、関連する学会を主体とした研究書に3名が執筆するなど、手堅く研究を進めているものの、大場が勤務校の役職者となったために、当初思い描いた計画の遂行が若干遅れ気味となっている。
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今後の研究の推進方策 |
28年度は最終年度であり、また、4名による持続的研究も10年を超えているので、集大成として一冊の書物にすることによって、成果を世に問うことを考えている。そのため、研究会を継続することはもちろん、可能であれば、関連する専門領域の研究者を招聘し、勉強会を開くことを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
4名による研究会は着実にこなし、また、公開講演会というかたちで社会に研究内容を紹介することはしたものの、書籍等の購入、ポスターの作成等では予定金額を使いきるにはいたらなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
今後は今までの研究の総括として、一冊の研究書を共著で出版したいと考えており、その費用が次年度使用額のうち、大きな割合を占めていくことになると思われる。また、合わせて、隣接領域の研究者とともに研究会を開くことも考えており、その場合、謝礼や交通費が生じると思われる。
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