研究課題/領域番号 |
26370331
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
坂野 明子 専修大学, 文学部, 教授 (20153900)
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研究分担者 |
伊達 雅彦 尚美学園大学, 総合政策学部, 教授 (00254889)
佐川 和茂 青山学院大学, 経営学部, 教授 (20137871)
大場 昌子 日本女子大学, 文学部, 教授 (80160612)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アメリカ文学 / ユダヤ系作家 / ホロコースト / 表象 / 新しい潮流 |
研究実績の概要 |
2016年度も3回の研究会を開き、アメリカ・ユダヤ系文学のホロコースト表象の新しい潮流と言える作家の作品について、精力的に意見交換をした。たとえば、Art Spiegelmanのコミック作品 Maus に見られるホロコースト・サバイバーの父とその息子の軋轢から、記憶を継承することの困難が伺えるが、同時に、それをコミックスにすることで、純然たる文字作品と異なるアプローチによって、ホロコースト表象の可能性を切り開いたことが確認された。 また、Marrie Hersman のTales of the Master Race では、被害者としてのユダヤ人ではなく、普通のドイツ人たちの暮らしや考え方に焦点をあてるアプローチもあり得ることを確認した。 Ehud HavazeletのBearing the Bodyでは、Maus の場合と同様に、ホロコースト・サバイバーの父親と息子の確執が描かれるものの、最後に息子側の、届かない記憶(ホロコースト)への深い思い入れが語られており、記憶の継承が作品の重要なモチーフであることが明らかであることを確認した。 このようにホロコーストを扱った新しい作品について、互いに情報を交換し合い、精読して意見を交換することで、新たな視野や知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究分担者のうち、1名が体調を崩し、ほかの1名が副学長という役職についたため、本来であれば2016年度中に、研究成果を書籍にまとめたいと考えていたが、現時点ではそれはかなわないでいる。 また、研究代表者も2016年4月より学内の役職につき、研究時間が制限される状態が続いており、結果として上記のような進捗状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
本来は2016年度までが研究期間であったが、研究成果を発表する段階に至らなかったため、1年間の延長を願い出て認められた。2017年度は研究分担者の一人が研究時間を確保できるようになったこともあり、年度末までに一冊の書物に研究成果をまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者および分担者が学内の役職で多忙であったり、体調を崩したりしたため、予定通りに研究が進捗せず、特に、予定していたものの、書籍として研究成果をまとめることができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年度中には研究成果をまとめ、書籍として出版する計画であり、出版社の了解も得ている。10月末までに各自の論文を完成させ、2018年3月には出版する運びになる予定である。
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