本研究は世紀転換点の「エキゾチック」をめぐる英語言説に着目し、どのような日本(人)像が流通したかを探求した。ノンフィクションでは英国外交官AlcockとSatow、旅行家Bird、フィクションではHearnとMrs. Fraserを取り上げた。先にHenry Jamesの「イタリア」をめぐる小説・紀行文を検証し、「エキゾチック」という点でイタリアもヨーロッパの外部として日本同様な眼差しを向けられたことが分った。日本表象において富士山、芸者、侍等のステレオタイプ的記号が旅行記・小説共に描かれるが、特に小説を通じそうした固定観念を覆すような新たな日本・日本人像の創出が試みられていたことが見出せた。
|