アジア太平洋とインターカルチュラリズムについては、今年度はオーストラリアと日本の表彰芸術を通した接触に焦点を絞り、資料収集と分析を行った。得られた結果は、論文「オーストラリア映画・演劇と日本」と題して執筆を行った。この本論は、2019年9月に単行本に収録され出版される予定である。 多文化を主題とする演劇と上演する身体については、静岡県舞台芸術センター(SPAC)から協力を得て、実践を通したフィールドワークを行った。具体的には、SPACが開催する「ふじのくに・せかい演劇祭」が招聘した劇団イルビジェリによる公演『ジャック・チャールズvs王冠』において、研究者は台本の字幕翻訳と字幕操作作業を行った。この作業を通して、出演者であるジャック・チャールズ、演出者であるレイチェル・マザ、またプロデュースを行った日本側スタッフに取材やインタビューを行った。またSPACからの協力のもと、観客の意見・感想を収集した。また早稲田大学にレイチェル・マザを招き講演を実施し、参加者からの感想・証言の収集を行った。これら得られた資料を基にして、まずシンポジウム「「ポストファクト時代におけるGlobalizing reconciliationのゆくえ」(オーストラリア学会関東例会/東京外国語大学)にて報告を行い、加筆の上論文「ファクトとフィクションを行き来する身体:『ジャック・チャールズvs王冠』」を執筆し、オンラインジャーナルにて発表した。 また、オーストラリアの主要都市(シドニー、メルボルン、アデレード)に調査出張を行い、多文化とグローバリズムを扱った演劇作品についてオーストラリアでフィールドワークを行った。中国系移民、スリランカ難民などを扱った作品についての資料を収集した。
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