本研究では、アメリカン・ルネサンスと日本開国の共時性に注目して両者に共有される19世紀アメリカの言説を調査した。ナサニエル・ホーソーンと彼に『日本遠征記』編纂を打診したペリー提督の接点に関する研究はほとんどなされてこなかった。本調査では、ホーソーンと海軍との関わりと、ペリーの文学的素養の伝記的背景を明らかにした。そして楽団や艦上劇を日本開国の文化的兵器と位置付けたペリーの戦略の背景に、両者に共有される海軍言説と文学的想像力が反映されていることを考察した。研究成果を4回の研究発表、雑誌論文2件で公表。新たに獲得した科研費で研究課題を継続して行っていく。また関連の論集と翻訳の企画を進めている。
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