研究課題/領域番号 |
26370346
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
塚田 幸光 関西学院大学, 法学部, 教授 (40513908)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | クロスメディア / アメリカ / 映画 / 表象文化 / ヘミングウェイ / 政治文化 / プロパガンダ / ジャーナル |
研究実績の概要 |
2014年度は、映像文化研究を軸に、2冊の図書、1件の招待講演を行った。 共著『アメリカ観の変遷 上巻【人文系】』(大学教育出版)には、論文「プロダクション・コードの性/政治学(ポリティクス)-ジェンダー、幽閉、『サンセット大通り』-」を寄稿した。この論文では、プロダクション・コードの文化史と「性」の抑圧の映画史の問題を交差させ、ハリウッドの政治文化について議論した。その抑圧表象が「幽閉」というモチーフと関連することを指摘した。共著『島国文化と異文化遭遇 海洋世界が育んだ孤立と共生』(関西学院大学出版会)には、論文「ターザン、南海へ行く――エキゾチック・ハリウッドの政治学――」を寄せた。ここでは、アメリカン・アイコンである「ターザン」の系譜を辿り、ハリウッド映画における南海表象の複層性を考察した。とりわけ、「ニューディール」時代に重点を置き、ハリウッドが描く「楽園」の系譜と、その背後にある消費社会のユートピア/ディストピアについて論じた。 招待講演として、シンポジウム「路(みち)と異界のアメリカ-ロード・ナラティヴと他者」(日本英文学会中部支部第66回大会、中京大学)で、「イメージの異境-フレーム、ロード、『パリ、テキサス』-」を論じた。また、共著『文学から環境を考える エコクリティシズムガイドブック』(勉誠出版)には「環境キーワード」解説を寄稿し、ヘミングウェイ協会機関誌での連載評論には、「シネマ×ヘミングウェイ(11)-『ミッドナイト・イン・パリ』-」(『NEWS LETTER』第66号)、「シネマ×ヘミングウェイ(12)-『ラブ・アンド・ウォー』―」(『NEWS LETTER』第67号)を寄稿している。さらに、文学環境学会機関誌の連載評論には、「シネマ×環境(4)-『誰が電気自動車を殺したか』-」(『NEWS LETTER』No.37)を寄稿している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究「クロスメディア・ヘミングウェイ-ニューディールの政治文化研究」に関して、先に言及したように、その成果は2冊の図書(共著)と1件の招待講演に顕著である。研究計画に対する達成度の高さは、これらの成果によって証明できる。 本年度(2014年度)の研究成果は、映像表象研究に集中している。論文「プロダクション・コードの性/政治学」は、冷戦期の映像表象における政治学研究であり、論文「ターザン、南海へ行く」は、ニューディール期から冷戦期、そして現代に至る南海表象研究である。ニューディール期から冷戦期の映像文化(大衆文化)研究の充実という意味からも、これら2編の論文が持つ意味は大きい。また、日本英文学会中部支部シンポジウムで行った「ロード」表象に関する議論は、『路と異界のアメリカ』(松籟社)において、出版を予定している。 さらに、本研究の達成度は、現在進行中の単著『クロスメディア・ヘミングウェイ』(松籟社)の充実からもはかることができる。この単著出版は、ヘミングウェイ研究の成果であり、現在、約8割が仕上がっている。これまでの論文をリライトし、新規の論文を加えているが、その成果は出版というかたちで公表予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ボストン・ケネディ図書館や米国議会図書館での一次資料調査を行うことに加え、ジャーナル研究を充実させる。ヘミングウェイ研究は「小説」研究に偏重しており、彼がジャーナリストであり、数多のジャーナルを書いている事実は無視できない。入手可能な資料はすべて入手し、クロスメディア的視座から再考察する。その成果は、単著『クロスメディア・ヘミングウェイ』で開示したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用の理由は、国内外の旅費に多くを使用するためである。2015年度は、ケネディ図書館や米国議会図書館などの一次資料の調査に加え、国内での学会発表や学会参加が多く、交通費と滞在費が例年以上にかかる予定である。そのため、次年度使用を決断した。
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次年度使用額の使用計画 |
主として、国内外の旅費として使用を予定している。ケネディ図書館や米国議会図書館、国内での学会発表や学会参加においても、交通費と滞在費として使用を予定している。また、図書購入費として、ヘミングウェイ関連、映像文化関連、そして映像資料など、図書とDVD資料に関して使用する予定である。
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