研究課題/領域番号 |
26370349
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
宮本 敬子 西南学院大学, 文学部, 教授 (60182044)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ト二・モリスン / 黒人女性表象 / 歴史的トラウマ / キャラ・ウォーカー / ミカリーン・トーマス / 奴隷制度 / 人種表象 / アフリカ系アメリカ文学 |
研究実績の概要 |
平成26年度は以下のような研究活動を行った。 1)5 月下旬にワシントン DCで開催された American Literary Association の年次大会に出席し、議会図書館、フィリップ・コレクション美術館にて黒人美術・歴史関連の文献・資料収集を行った。2)6月上旬には、5月の海外出張で収集した資料を元に、日本アメリカ学会年次大会のシンポジウム「公民権法制定後半世紀、アフリカ系アメリカ人文学・文化は変わったか?」において 「黒人女性表象は変わったかーKara WalkerとMickalene Thomasの場合」を発表した。3)11月上旬にはニューヨーク公立図書館ショーンバーグで資料収集を行い、その後ロサンジェルスで開催されたAmerican Studies Associationの年次大会に出席し、黒人表象のセッションに参加した。4)12月12日にはリーハイ大学准教授、James Braxton Peterson氏を大学に招聘し、"The Power of Underground in African American Culture"と題して英文学科主催講演会を開催した。Peterson氏は、モリスン学会初代会長 Carolyn Denard 教授が膝の病気のため来日不可能になったため、代理として講演をされた方だが、その内容が現代アメリカ文学・文化におけるアンダーグラウンドの表象であり、歴史的トラウマ表象研究と密接に関わっていたため多いに参考になった。5)本年度の出張で入手した資料をベースに「グレート・マイグレーションをめぐるコール・アンド・リスポンス――ト二・モリスン『ジャズ』とジェイコブ・ローレンス『マイグレーション・シリーズ』として論文をまとめ、3月に刊行された書籍『アメリカン・ロードの物語学』において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、計画していた時期とは少しずれてしまったものの、国際学会に出席をかねての資料収集を2度も行うことができ、研究成果につながるような新たな発見をすることができた。とりわけアフリカ系アメリカ人アーティストに関する資料は、日本で入手することが困難なものが多く、ワシントン・DCの議会図書館では専門家のアドバイスのもと、非常に効率よく文献収集をすることができた。American Literary Associationでの発表は昨年度の申し込み締め切りに間に合わせることができず見送ったが、その代わりに日本アメリカ学会のシンポジウムにて成果を発表でき、また質疑応答などを通して新たな発見があり、次の論文へと発展させる準備ができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に行った資料収集で新たな研究の展開があったため、それを基盤にして平成27年度は、黒人女性表象と歴史的トラウマとの関係をさらに探求する。すでに学会発表した原稿を論文にまとめ、また新しい発見についても別の論文の形で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
円安の影響で旅費が予算を大幅に越えたが、講演会費に関しては所属学科予算から補助があったため助成金を使用する必要がなくなった。その点が明らかになったのが年度末であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費(図書費)として使用する。
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