研究課題/領域番号 |
26370349
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
宮本 敬子 西南学院大学, 文学部, 教授 (60182044)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | トニ・モリスン / アリス・ウォーカー / スティーブン・スピルバーグ / ロメール・ベアデン / 歴史的トラウマ表象 / ブラックアート運動 / ハーレム・ルネサンス / ブラック・フェミニズム |
研究実績の概要 |
2018(平成30)年度は以下のような研究活動を行った。 1) 3月末にブラウン大学でのフルブライト研究員の任期が終了し4月1日に帰国したが、前期はアメリカ滞在中に収集したがまだ未読の文献や資料の精査を行った。研究休暇明けということで様々な学内業務のほか、日本英文学会、日本アメリカ学会等での司会の仕事が相次ぎ、研究に割く時間が少なくなったが、アメリカで収集した文献や資料の整理を行うことができた。また、6月の黒人研究学会年次大会に参加し、黒人表象の歴史に関する貴重な資料に触れる機会が与えられた。 2)8月には、アリス・ウォーカーの『カラーパープル』の翻案であるスピルバーグの映画と原作との比較研究に関する文献や資料を精査した。これは当初の研究計画にはなかったが、黒人共同体における家庭内暴力という観点では、アフリカ系アメリカ文学と視覚芸術におけるトラウマ表象と深い関連があり、前年に発表したトニ・モリスンの『青い目が欲しい』論とも共通するテーマであったため、論文執筆に取り組んだ。 3)後期は主に『カラーパープル』の映画翻案に関する論文を完成させ脱稿した。さらには当初の計画であった書籍の新たな章の執筆にも取り組んだ。 4)年明けから3月にかけてはハーレムルネッサンスにおける視覚表象に関する発表のため、収集していた資料の精査を行った。書籍の執筆については2018年度中に完成させる予定であったが、絵画や図版の版権取得に時間がかかること、また新たな章を追加しなければならないこと、さらには別の仕事が多数入ったことなどから、計画通りには進まなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2017年度にフルブライト研究員として半年間ブラウン大学に滞在した結果、新たな研究テーマや最新の文献や知見に触れる機会があった。その結果として、2018年度に当初の計画になかった新たな仕事が入ったり、さらに精査しなければならない文献を入手したりしたことが主な原因である。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度前期は、書籍に追加する新たな章を執筆し、それに伴う序章の書き直しも7月中に完成させる。8月中に全体の見直し、図版の配置、注および文献一覧の入念なチェックを行い、9月始めには脱稿する予定である。それとともに図版の版権取得も同時進行で行う。9月以降は3回の校正を経て、3月末に出版という計画である。以上の仕事を遂行するため、他の仕事は極力入れず、書籍執筆に専念する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年9月より2018年3月まで、フルブライト研究員としてアメリカに滞在したため、当初予定していた海外出張旅費を使用する機会がなかった。またフルブライト研究員中に当初の予定外の仕事が入り、予定していた書籍出版が次年度に延びたため、版権取得費用や出版に関わる費用が未使用のままであること、が主な理由である。残額は、主に書籍執筆のための資料収集、図像の版権取得、出版費用などに使用する予定である。
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