研究課題/領域番号 |
26370356
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山上 浩嗣 大阪大学, 文学研究科, 教授 (40313176)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | パスカル / 『パンセ』 / モンテーニュ / 『エセー』 / 『ポール=ロワイヤル論理学』 / アントワーヌ・アルノー / ピエール・ニコル / デカルト |
研究実績の概要 |
本研究課題の主たる方向性は、1)パスカル人間学の総合的研究、2)パスカルとモンテーニュの影響関係の研究、3)『ポール=ロワイヤル論理学』の翻訳・注解、の3つである。 2015年度(平成27年度)は、1)に関して、野呂康氏(岡山大学)が企画した大規模な研究会「<表象>のパスカル――パスカル学への新たな寄与の試み」の第1回公開研究会にて、「パスカルと動物の魂――動物機械論と『パンセ』」と題する研究発表を行った。また、2015年3月に行った研究発表「ヴォルテールのパスカル批判」の原稿に大幅な加筆訂正を行った同タイトルの論文を、『ガリア』誌第55号に掲載した。 2)に関しては、京都大学人文科学研究所「環世界の人文学――生きもの・なりわい・わざ」研究班(大浦康介班長)の例会に招かれ、「モンテーニュ、デカルトの動物論とパスカル」と題する研究発表を行った。また、ジャンニ・パガニーニ教授(ピエモンテ大学)が2015年3月に来日したときの講演「モンテーニュと近代懐疑主義」の講演原稿を『思想』第1098号(岩波書店)に掲載した。 3)に関しては、目下作業を進めているところである。D・デコットによる『ポール=ロワイヤル論理学』の最新校訂版(Paris, Honore Champion, 2011)に依拠する。2015年度においては、二つの序文および第1部のいくつかの章に取り組んだ。2016年度は続けて第1部の主要な章と、第4部の「未来の出来事」に関する章、第3部の「誤謬推理」に関する章の読解に力を注ぐ。 このほか、ディドロ『サロン』の抄訳の一部を大阪大学文学研究科紀要に発表し、パスカル『パンセ』の入門書の執筆に取り組んだ。後者は2016年中に講談社学術文庫から刊行予定である(仮題『パスカル『パンセ』を楽しむ』)。なお、2016年3月に約1週間パリに滞在し、フランス国立図書館にて研究資料を閲覧した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究計画は、当初以下の通りであった。 「①パスカルとモンテーニュの影響関係の研究の一環として、「パスカルとモンテーニュの政治論」に関する口頭ならびに論考の発表を行う(掲載先は『ガリア』を予定)。②パスカルとモンテーニュの影響関係の研究の一環として、「パスカルとモンテーニュの修辞論」に関する研究の準備に取りかかる。③『ポール=ロワイヤル論理学』研究の一環として、本著第1部後半の翻訳・注解を行う(掲載先は『大阪大学文学研究科紀要』を予定)。」 ①と②は未完成であるが、上述のように、パスカルとモンテーニュの影響関係の研究は活発に継続中である。③についても、当初よりはやや遅れているが、着々と進めている。また、当初予定にはない成果として、パスカル人間学の総合的研究に関する論考を公刊し、研究発表を行っている。したがって、研究の進展は全体として順調であると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度(平成28年度)は、以下の課題に集中的に取り組む予定である。 ①パスカル『パンセ』の翻訳・注解、②『ポール=ロワイヤル論理学』の翻訳・注解、③パスカルの「気晴らし」観念におけるモンテーニュ思想の影響と変奏に関する論考の執筆、④パスカル『パンセ』入門書の執筆、刊行。
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