ステファヌ・マラルメが出版した約20冊の本に関する書誌を作成し、関西マラルメ研究会アルシーヴ Mall'archives で公開した。また、献本先等の詳細な情報については現在も収集を継続しおり、拙著『ステファヌ・マラルメの書斎』とともに、この詩人を中心に形成されていた文芸ネットワークの実態を著書の相互贈与という具体的なやり取りから再考するための基礎資料となっている。 19世紀末フランスとベルギーの出版界を概観したうえで、詩集の刊行が難しいなか、その思考の中心に「書物」という概念を据えるマラルメが実際にいかなる目論見を持って作品を刊行しようとしている(公にした)のかを本造りの現場から考察した。
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