研究課題/領域番号 |
26370359
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
阿尾 安泰 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (10202459)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ルソー / 認識 / モダン / フランス / 知 / 18世紀 / 啓蒙 |
研究実績の概要 |
オランダ、ロッテルダムで開催された第14回国際啓蒙学会にて、2015年7月30日にシンポジウムを外国人研究者を含む3人の研究者とともに行い、そこで18世紀の認識の枠組みに関する発表を行った。 2015年10月31日京都大学で開催された日本フランス語フランス文学会において、18世紀フランス研究会にて、発表の司会を依頼され発表の進行に努めるとともに、海外学会の成果の一端を披露した。 これまでの研究を踏まえた上で、18世紀の知の枠組みの特性に関する論文を、九州大学大学院言語文化研究院の紀要である『言語文化論究』に発表した。 九州大学大学院言語文化研究院主催シンポジウム、「今問い返す、モダン、ポスト・モダン」を19世紀、20世紀を専門とする研究者たちと企画した。2016年2月21日に、外部から2名の名誉教授、1名の教授を招聘して、シンポジウムを九州大学西新プラザで行った。九州大学関係者のみならず、他大学から、特に若手研究者たちが集まった。このシンポジウムにおいて18世紀的な認識の枠組みとそれ以降展開していく新たな展開とについての発表を行った。 3月の東京出張においては、東大駒場の図書館にて、18世紀の最近の研究についての情報を入手することができた。 特に文献資料等については、第14回国際啓蒙学会にいて医学研究においての貴重な文献を入手した。これを参照しながら、当時の医学認識モデルの特性を考えたい。また2月21日に開催されたシンポジウムにおいては、19世紀、20世紀の研究者たちから知の枠組についての貴重な示唆を受けることができた。それに基づきながら、18世紀の認識の構造の特性をさらに一層明らかにしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オランダ、ロッテルダムで開催された第14回国際啓蒙学会でのシンポジウムは、ゆとりをもって準備したこともあり、無事終了することができた。発表会場には、少なくない研究者が集まり、質疑応答が行われた。 日本フランス語フランス文学会においては、研究会における司会を依頼されたために、ワークショップは開催できなかったが、司会担当する中で、研究の一端を示すことができた。 そして、ワークショップに代わるものとして、大規模なシンポジウムを企画することができたのは、大きな収穫であった。18世紀から始まり、19世紀、20世紀、現代にまで至る大きなパースペクティヴの中で問題を他の研究者たちと考えることができた。 また文献についても、国際学会、東大駒場図書館等で新しいものが入手できたので、研究の面で大きな役割を果たしてくれるものと期待される。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度、平成27年度と遂行してきた読解作業を、収集した資料を整理しながら、まとめる作業を行う。演劇から作られてきたモデルが、領域横断的に、18世紀の様々な分野で利用されていることを明らかにする。 そして、そうした18世紀認識モデルの特性が明らかとなる中で、それと対照的にあらわれてくる19世紀以降のモデルの特性を少しずつ明確にしていく。 研究の進行と深化の中で、その成果を、18世紀フランス研究会で発表を行う。他の研究者たちの指摘と意見を取り入れながら、更に明確化することを目指す。 最終的に、これまでの成果を集約した形で報告書を作成する。また研究の過程で作成した文献資料等のデータベースを申請者のHP上で公開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会出席及び東京での資料収集で旅費が予定以上にかかったが、前年に参考文献等を十分に購入していたので、今回は文献購入のための物品費が予定よりも少ない形でおさめることができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
この次年度に繰り越される分は、翌年度助成金と合わせて、これまでの研究のまとめに必要な文献資料の購入、そしてその作業に必要な東京での最終的な資料確認のために旅費に使用する。さらに最終年度ということもあり、これまでの研究をまとめた報告書の作成とその印刷にあてるものとする。
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