研究課題/領域番号 |
26370362
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研究機関 | 静岡文化芸術大学 |
研究代表者 |
石川 清子 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (30329528)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アルジェリア / ヤミナ・ベンギギ / アシア・ジェバール / グットドール / バルベス / 記憶 / マグレブ / 移民 |
研究実績の概要 |
今年度は本研究課題の初年度で、主に以下の研究活動を行った。 1)国際シンポジウムでの発表。アルジェリア、オランで開催されたアシア・ジェバールの国際シンポにおいて作家の初期小説の詳細な読みを提示した。初期作品は言及される機会が少ないのでジェバール研究に貢献できたと自負する。プロシーディングは2015年5月刊行予定。 2)国内研究会での発表。中東現代文学研究会において、ヤミナ・ベンギギ諸作品(映画と書籍)のマグレブ移民の娘世代が見た母世代を「祖国」という側面から考察した。マグレブ文学研究会では、パリにおけるマグレブの存在という視点から、グットドールとバルベスというマグレブからの移民と密接に関わるパリの一区域に焦点をあて「記憶」というキーワードを頼りに複数の資料を考察した。また、1)と2)から研究者間のより緊密なネットワークを確保した。 3)夏のパリでの調査と資料収集をもとに、グットドール地区の文化的表象を論文にした。戦後のマグレブ/フランスの複雑な関係を主に文学作品において考察することができ、さらにそこから発展して掘り下げるべき可能性も見えた。 4)アシア・ジェバール研究にとって2015年2月のその死は惜しまれるが、オマージュとしてノーベル文学賞候補者としての紹介文を書籍に掲載できた。また、昨年のジェバール国際シンポジウムの発表をもとにした論文や、そのシンポのリポートを活字として発表した。フランス(語圏)文学、及び女性による文学の代表的作家として、この作家は総合的評価の段階に入って行くだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文、国際シンポジウム、国内研究会での発表など初年度に予定していたことができた。主に女性作家の作品を考察することで、本研究のテーマとするアルジェリア仏語文学の特性(女性・移民・戦争)を確認し、以降の研究を方向づけることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ヤミナ・ベンギギの営為に注目し、その映像・文学作品双方について、移民と女性という視点からアルジェリア/フランスの関係性を全般的にとらえて行きたい。また、ジェバール死去に伴って、記念的行事も含めてこの作家の総括や再発見といった研究活動が世界的に行われるはずである。その動向を大きく意識したい。ジェバールを中心に据え、より若い世代の作家(マイッサ・ベイ、レイラ・マルアーヌ、カメル・ダウードなど)の作品も考察する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
パソコンと書籍購入を予定していたが、パソコン機種選定、書籍選定の時間的余裕がなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
国際シンポジウム発表(2015年6月)と資料収集、現地調査のための数回の海外渡航費をはじめ、国内学会・研究会参加の旅費にあてる。パソコン及びその周辺機器購入予定。フランス語書籍を系統立てて収集予定。また英・米・仏・カナダで発行する雑誌バックナンバー購入も考えている。
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