研究実績の概要 |
最終年次となる平成28年度には、本研究のうち文献学的調査に関する中間的成果として研究代表者による書評「M. Davies & P. J. Finglass, Stesichorus: The Poems」が『西洋古典学研究』に掲載された。8月にはオックスフォード大学に研究旅行を実施し、ホメーロス叙事詩およびヘロドトス『歴史』における死生観表現に関する文献調査を進め、同大学所属の研究協力者であるMalcolm Davies教授、Stephen Harrison教授との研究会議を開催した。9月12日にはベルリン・フンボルト大学所属の研究協力者Philip van der Eijk教授を招聘し研究会議を実施して、古代ギリシア医学思想における死生観についてアドバイスを得た。本研究の文献学的調査に関する最終的研究成果として研究代表者による論文「ホメロス問題─口承詩理論と新分析論を中心に─」を完成した。また本研究のうちホメーロス叙事詩における死生観表現の源流に関する最終的成果として『イーリアス』における登場人物による物語をテーマとする論文「パラデイグマ(例話)」を完成した。これら2本の論文は共同執筆研究書の2つの章として平成29年度半ばにピナケス出版より出版される予定である。本研究のうち、死生観表現の展開に関する中間的成果として、研究代表者は所属研究機関で開催された国際学会において "The Allure of the Sirens: Ancient Greek Texts, Iconography, and Beyond" と題する研究発表を英語で行った。また死生観表現の展開に関する最終的研究成果として研究代表者による英語論文 "The Meeting of Croesus and Solon in Herodotus' Histories I" を完成した。本論文は英国T&T Clark社より平成29年度中に出版される予定である。
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