研究課題
基盤研究(C)
本研究においては、ロブ=グリエの中期から後期に至る作品の語り構造の変遷と物語の舞台の現地調査で得られた知見を踏まえて後期を代表する自伝的作品の構成を分析した結果、ロブ=グリエにとって、自我とは統一的に実在するものではなく、謎を孕んだ人生の様々な記憶によって常に更新されてゆくものであり、この自我のあり方こそ、ロブ=グリエがデビュー作以来、作品創造を通じて一貫して主張し続けてきた、多文化共生の世界を生きる為に必要な人間の自我のイメージであることを明らかにすることができた。
現代フランス文学