研究課題
2018年度は、昨年度より延期していた海外出張を行い、これまでの研究の総決算を視野に入れて研究活動を行った。8月にはモントリオール大学ケベック学大学相互研究センターに滞在し、研究課題についての最新の文献収集と作家、研究者へのインタビューを行った。2018年度の主要な研究実績としては、早稲田大学名誉教授の立花英裕教授らと協同し、黎明期から現代までの主要なケベック詩を研究し訳出した。ケベックの詩は、ホワイトニグロと呼ばれ長らく英語系に抑圧された歴史的経緯を背景に、カリブ海地域で発祥したネグリチュード運動とも連動し、抑圧への抵抗から北米のフランス系としてのアイデンティティの開花へと至るケベックの状況を鋭く反映してきた。ケベックの詩は、周縁的で閉鎖的な社会であったケベックが脱皮して、世界的な動向と呼応して解放されていく過程を如実に映し出しており、ガストン・ミロンの詩に代表されるように、抵抗と解放の象徴的かつ普遍的な表現として今日、注目されている。従って、ケベックの詩を分析し、訳出して紹介することは、研究課題であるケベックを中心とする仏語圏文学の「脱周縁的でトランスナショナルな変容」の重要な側面を明らかにすることになった。この成果は『ケベック詩選集』(立花英裕・真田桂子編訳、彩流社、2019年6月刊行予定)としてまとめられた。その中で真田は、日本でのアンソロジーの翻訳にあたり、ケベック詩の変遷について解説した詩人でモントリオール大学名誉教授のピエール・ヌヴーの序文を訳出するとともに、アンヌ・エベール、ジャック・ブローらのケベックを代表する詩人の作品を訳出して解説した。さらに2017年9月に京都で開催された国際学会で、ジャック・ブローと堀口大學との比較研究について行った研究発表の成果を仏語論文としてまとめた。この論文はWEB上の国際学会論集に掲載された(研究業績欄参照)。
2017年9月に京都で開催された世界フランス語教授連盟(FIPF)アジア世界大会(CAP)での研究発表についてのWEB論文集(2018年)で、研究代表者(真田)の論文も掲載されている(研究業績欄参照)。
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Revue japonaise de didactique du francais numero special, Federation international des Professeurs de Francais, Actes du IVe Congres regional de la Commission Asie-Pacifique
巻: - ページ: Axe1, 146
http://sjdf.org/pdf/cap2017kyoto_actes.pdf