研究課題/領域番号 |
26370377
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
鳥山 祐介 千葉大学, 文学部, 准教授 (40466694)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ロシア文学 / 西洋史 / 文学論 / ロシア:英国 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、資料収集や情報の整理、国内外の研究者との交流など、翌年以降の研究への足掛かりとする活動を主に行った。 同年4-11月は主に国内で、同年11年―平成27年3月は勤務先の用務でロシアに長期滞在したことを活かし、モスクワのロシア国立図書館、歴史図書館、サンクトペテルブルクのロシア国民図書館等で資料収集を行った。ここで収集したのは18-19 世紀初頭のロシアにおける空間認識を反映する旅行記や詩、回想録であり、特に対ナポレオン戦争期の資料は数多く収集した。また、平成27年1月に英国ホデスドンで開催された「18世紀ロシア研究グループ」の研究会に参加し、欧州の研究者と交流を行ったことは、新たな資料や先行研究の存在について認識し、研究を進める機会となった。対ナポレオン戦争で活躍した軍人の一人、フョードル・グリンカによる旅行記や論稿は特に重要であり、現在研究方向に向けて準備を進めている。 平成26年12月にはロシア国立人文大学ロシア文学研究科において、また平成27年2月にはモスクワ大学文学部ロシア文学研究科において「1760-1810年代のロシア詩におけるヴォルガの表象」というレクチャーを行い、本研究の推進にもつながる有益な反応を得た。 なお、平成26年5月にRussian Literature誌において刊行された論文「カラムジンの創作における隠喩としての英国式庭園」(ロシア語)は、本研究の開始以前に執筆されたものだが、18世紀後半にロシアに新たに導入され、自然と空間に関する新たな認識をもたらした造園様式の受容の問題を扱ったものであり、その成果は本研究にも大きく反映するものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は勤務先の用務によってモスクワに4か月滞在する機会を得たため、一時資料の収集が日本国内より容易であった。また、過去および現在の研究成果に基づく報告、および情報交換の機会をモスクワで複数回持てたことは、今後の研究にとっても有益であった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度には、これまでに得られた研究成果に基づき、特に対ナポレオン戦争期の空間認識に関して、同時代の旅行記等を用いながら研究を進める。特に、対ナポレオン戦争期の軍人フョードル・グリンカの旅行記に関する研究成果の一部は、同年8月に幕張で開催されるICCEES(中東欧研究国際協議会)大会において、日本、韓国、ロシア等の研究者とともに組織したパネルにおいて報告される予定である。 同時に、引き続き国内およびロシアなど国外で資料収集を行い、専門家との討議を重ねる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画を立てた段階では、資料収集のための渡航費用として初年度に一定額を割り当てていたが、研究開始後に勤務先の任務で校費によってモスクワに派遣され、その分の渡航費用が不要となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
2年目以降の海外渡航にあたっては日程に余裕をもたせて資料収集を行う。また、図書、複写など研究資料の購入にもより多くの費用を充てる。
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