研究課題/領域番号 |
26370377
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
鳥山 祐介 千葉大学, 文学部, 准教授 (40466694)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ロシア文学 / 西洋史 / 文学論 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
平成28年度にも前年度に引き続き、資料収集や情報の整理、国内外の研究者との交流を行い、10月にはロシアの二つの学会で研究報告を行った。 同年4月-9月には前年度にヘルシンキおよびモスクワで収集した資料、特にカラムジンの著作や19世紀初頭の雑誌資料の分析を進めた。特に、これまで単独で研究対象となることはなかった1793年の詩「ヴォルガ」の分析を、これまでの研究成果も用いつつ新たな局面から進め、この成果は10月にサンクトペテルブルクのロシア科学アカデミーロシア文学研究所で催されたカラムジン生誕250年記念学会で報告された。この内容は、早ければ平成29年度中に科学アカデミーから刊行される論文集の中で論文として発表される予定である。また前年度より集中的に研究し、前年度3月に刊行された論文のテーマとなった「崇高」の問題についても並行して携わり続け、同じ10月にはモスクワ大学文献学部ロシア文学史研究室主催の、デルジャーヴィン没後200周年記念学会でデルジャーヴィンと崇高に関する研究報告を行った。 一方、同年9月には日本18世紀ロシア研究会の研究発表会にソウル大学の研究者を招聘し、18世紀ロシアの作家ラジーシチェフに関する研究報告を依頼し、意見交換を行った。 また、同年6月に刊行された論文「18世紀ロシアの『パイドーン』? : シチェルバートフ『魂の不死に関する対話』と1770-80年代のプラトン受容」は、18世紀ロシア文化の重要なコンテクストを明らかにした研究成果として本研究と密接なつながりがあり、本研究の成果も活かされている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際学会での研究成果の報告をコンスタントに行っている。また、そうした学会を通して情報交換の場を持つことができたことは、今後の研究にとって大きな意味を持つと予想される。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度には、これまでに得られた研究成果に基づき、18―19世紀初頭のロシア文学・文化に関して、エカテリーナ期からナポレオン戦争期を主たる対象に、この時期の文化に表れたロシア帝国の空間認識の問題をめぐる総括的な記述を行う。引き続きロシアなど国外で資料収集を行い、専門家との討議を重ねる。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度は論文の執筆に思ったより時間を要したことが原因で3月に資料収集のための出張を行う余裕がなくなってしまったこと、また当初考えていた東アジア地域での学会発表のための出張も行わなかったことなどが重なり、前年度の未使用額を大幅に使用するには至らなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
書籍や印刷代などの資料費に充てるほか、8-9月には少し長めの日程でロシア等への出張を行い、余裕をもって資料収集を行う予定である。
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