研究課題/領域番号 |
26370378
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平野 嘉彦 東京大学, 人文社会系研究科, 名誉教授 (50079109)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ツェラーン / 自然史 / 人間学 / ハイデッガー |
研究実績の概要 |
平成27年度は、6月に、ツェラーンの抒情詩に関するドイツ語による論文および日本語による著書を各一点、公にしたが、これはいずれも当科研の研究課題がスタートする以前にシンポジウムでの口頭発表、およびドイツでの出版を経ていたものであった。ただし新たに稿を作成する過程で、あらためてこの詩人の作品がはらむ問題に、思いをいたすことができた。 さらに7月、8月には、当初の「年次計画」にはなかったケルン大学への出張をおこなって、ドイツ文学講座のアーニャ・レムケ教授と意見を交換することができたのは、きわめて有益であった。それによって出張旅費の多くを費消した結果、12月、1月のウィーン大学およびオーストリア国立図書館における文献調査については、自己負担による渡航を余儀なくされたが、ウィーン大学クリスティーネ・イヴァノヴィッチ教授との意見交換、研究協力は予定どおり進捗して、「自然史」をめぐる一層の知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究計画調書」の「年次計画」にも記したように、平成27年度は、ツェラーンにおける狂気と死のモティーフをとりあげて、「人間学」の準拠枠のなかで解釈することをこころみた。その意味で、ヘルダーリーン、ハイデッガー、ツェラーンにおける「中間休止」に関する浩瀚な著書のあるレムケ教授と意見交換を交わすことができたのは、予定外の収穫であった。 国内では、ひきつづき東京大学、京都大学において、文献調査をおこなうなかで、必要な補足がなされつつある。
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今後の研究の推進方策 |
ひきつづき海外研究協力者との意見交換、ドイツ、オーストリアの国公立ないし大学図書館における文献資料調査を中心にして、研究をすすめていく方針である。 ただし平成28年度は、当初、ベルリン自由大学への出張を予定しているのみであったが、ベルリン在住のゲーアハルト・ノイマン教授は高齢でもあり、研究協力の実があげられるかどうか、いささか懸念されるので、当初の予定にはなかったが、ノイマン教授のもとでかつて助手を務めたことがあるミュンヘン大学のオリファー・ヤールアウス教授との意見交換を、とりあえず今秋に予定している。さらに日程的に可能であれば、ベルリンその他への出張を、自己負担でおこなう所存である。
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