研究課題/領域番号 |
26370379
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
西岡 あかね(秋元あかね) 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (30552335)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ドイツ文学 / 比較文学 / プロレタリア文学 / 全体主義研究 / アヴァンギャルド研究 |
研究実績の概要 |
2014年度はまず、本研究プロジェクトを遂行するための準備作業となる、全体主義およびスターリニズムに関する最新の研究を検討した。この研究分野は従来、主に政治体制論の場で行われており、グロムシトクの包括的研究のように、芸術様式や文化現象としての全体主義を問題としたものは少ない。しかし、個別研究には、この視点からスターリニズムを扱ったものも存在する。これらの先行研究を再度批判、検討することで、本研究の理論的基盤を強化する事を目的として、マールバッハ・ドイツ文学文書館で研究資料の調査と分析を行った。 マールバッハでの調査と並行して、スターリニズム的文学伝統成立の前段階として、ワイマール期の急進的左派文学の研究を進めた。具体的には、プロレタリア文学の左傾化に伴う国際的前衛イメージの形成過程に注目した。その際、特に、イメージ形成過程の地域的特性を明らかにすることで、インターナショナルスタイルの地域性という、本研究の中心テーマに関する考察を深めた。この研究成果を織り込む形で、すでに進めていたジョージ・グロッスの受容に関する論文を完成し、発表した。 また、個別研究の分野では、ワイマール期の左派文学におけるソヴィエト・イメージに注目したが、この分野は近年、研究が盛んになっており、資料も紀行文学やルポルタージュ文学を中心にして多岐にわたる。大まかな考察の結果、初期のプリミティヴィズム的形象がアメリカニズムの影響を受けた超近代的未来イメージに転換してゆく傾向が見られたが、資料の多彩さに鑑みても、そのような単純な図式化は危険であり、詳細なテキスト分析は2015年度以降の課題としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の第一目標であった、全体主義およびスターリニズムに関する最新の研究を検討するという目標は達成できた。また、ワイマール期の左派文学に関する研究成果を織り込んだ論文も発表できた。一方、個別研究の分野では、資料が当初の想定よりも多岐にわたっており、その詳細な分析が2015年度以降に持ち越されたが、研究の方向性はすでに決まっており、全体としてはおおむね当初の計画通り順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度は、昨年に引き続き、ワイマール期に書かれた紀行文学やルポルタージュを主な資料として、左派文学におけるソヴィエト・イメージの形成過程を分析したい。同時に、これとも関連する形で、個人崇拝(スターリン崇拝)の文学的表現についての考察を行う。ドイツにおけるこの文学的現象については、ジャーナリスティックな関心の対象になることはあっても、テクスト分析や文学史研究の対象にはあまりなってこなかった。体制としてのスターリニズムと文学の関係に関しても、雑誌『テクストと批評』シリーズの特集「文学とスターリニズム」(ミュンヘン、1990) など、個別のアスペクトを論じた論集がいくつかあるに過ぎない。そこで、本年はまず、ベルリン国立図書館で20 年代から40 年代の文学を中心に、これまであまり知られていない、スターリンやソヴィエトを題材としたプロレタリア文学のテクストを収集し、アヴァンギャルドの文学表現との比較を念頭におきつつ分析を進めたい。この研究の成果は、日本比較文学会の大会で発表したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、ドイツ語で執筆した論文にネイティヴ・チェックを入れる際の謝金を予算に計上していたが、出版社が校正を行ったため、謝金の支出の必要がなくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度もドイツ語での論文執筆を考えているので、その際の校正費(謝金)として使用することを予定している。
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