デュレンマットはドラマトゥルギー上の注釈等、パラテクストと呼ばれる類のテクストを数多く残している。書籍版『加担者』までのパラテクストは、あくまでも読者が文学テクストをよりよく理解するための補助的なテクストとして書かれているが、『加担者』ではむしろ、文学テクスト(戯曲)はパラテクスト(後書き)を書くきっかけを与えるものでしかない。『加担者』ではパラテクストは、質的にも量的にも戯曲を凌ぐほど重要なものとなっている。また、デュレンマットは文学作品と同じモチーフを扱った絵画も多く描いており、文学テクストに絵画を配することによって、演劇や映画といった映像を伴うメディアにより近い表現が可能となっている。
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