近現代ロシアにおけるスポーツ表象の系譜について、文学、映画、美術の3領域について検討した。文学領域や映画領域の研究では、帝政期に「運命との対決」として理解されていたスポーツが、スターリン期に国防の基盤として、「雪どけ」期には日常的かつ個人的な喜怒哀楽の場として把握されるようになったことを明らかにした。美術の領域では現代ロシアの作品を分析し、そこでスポーツが不毛な反復として理解されながらも、その不毛さを覆す根源的なエネルギーが身体のうちに認められていることを明らかにした。また、モスクワとソチというかつての五輪会場を視察し、それぞれの都市のイメージとスポーツ施設の関わりについて考察した。
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