戦後ドイツにおける〈戦後意識〉の変化を,本研究期間内にあっては,ナチ時代の過去がどのように扱われてきたかに焦点を当てた考察のかたちで進めた。とりわけ,主として1945-49年のあいだにさまざまな議論となった,ナチ時代の犯罪に対するドイツ人全体になんらかのかたちで罪ないし責任を問う,〈集団の罪〉をめぐって研究成果を挙げた。 具体的には,占領軍政策の背後にいかに〈集団の罪〉という考え方があったかの諸例,またドイツ敗戦直後にドイツ内外でこれをめぐってあった議論の整理,そしてその後の〈想起文化〉につながる要因がすでにそこに胚胎していたことの指摘,などを論文のかたちで公表した。
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