研究課題/領域番号 |
26370398
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
井戸田 総一郎 明治大学, 文学部, 教授 (40095576)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ニーチェ / 哲学と詩 / 草稿資料 |
研究実績の概要 |
『ニーチェと詩』(Nietzsche und die Lyrik) を総合テーマにする国際会議が、2015年10月15日から同月の18日の期間、ナウムブルクのニーチェ文献研究センター(Nietzsche-Dokumentationszentrum)において開催された。1990年に設立されたニーチェ協会 (Nietzsche-Gesellschaft) は、ニーチェの誕生月の10月あるいは没年月の8月に年次学術会議を開催し、これまでに多くの成果を挙げてきている。哲学者ニーチェを巡りさまざまなテーマが設定されたが、「ニーチェと詩」を本格的に取り上げる国際企画はドイツにおいて今回が最初であり、内外の関心を多く集めた。研究発表はセクション発表も含め40本以上を数えたが、本研究の課題を『"An Goethe". Spurenlese einer poetischen Genese』と題して、メイン講演の一つとして紹介し、非常に高い評価を得た。また、この国際会議に関する報告を岩波書店刊行の雑誌『文学』に掲載する。この国際会議を通じて多くのニーチェ研究者と知り合うことができ、特にUniversitaet Stuttgartの「テキスト研究センター」(Stuttgart Research Centre for Text Studies) に新設される国際ニーチェ研究所 (Internationale Nietzsche-Forschungsgruppe) の設立メンバーの一人に選ばれた。 国際会議においては、特にニーチェの手稿・草稿資料の読解に基づく優れた研究が評価され、本研究にたいする高い評価もそこに起因している。方法論上の共通の基盤が確認され、複数の研究者との共同によるオリジナルテキスト解読の道筋を切り開くことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年10月にナウムブルクで行われた国際会議における講演が高い評価を得たことによって、ドイツのニーチェ研究に関して現在最も重要な研究機関との関係が密になり、研究の国際的広がりが当初想定していたものに比べると飛躍的に拡大した。共同研究の広がりにつれて、研究内容の深化の速度が高まり、海外における研究成果の刊行の可能性が開けている。 ニーチェの手稿・草稿資料の解読は困難を極めるが、国際会議において方法論を同じくするニーチェ・スペシャリストと知り合い、今後の協力体制が確立されたことによって、研究の進展速度が早まることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
1)Universitaet Bamberg のドイツ文学科において、Prof. Iris Hermann とともにニーチェ・ゼミナールを開催。6月に2回にわたって、本研究の課題であるニーチェの文体に関する講義を行う。 2)Universitaet Stuttgartの国際ニーチェ研究所を訪ね、同研究所の所員との学術交流を深める。ニーチェの文体に関する研究発表を行う。 3)Universitaet Freiburgに拠点を置いている、Heidelberger Akademie の研究プロジェクト Nietzsche-Kommentarを訪ね、同研究を遂行してしている研究者との交流を深める。
以上のような活動を通して、本研究の成果をドイツの著名な出版社 de Gruyter から刊行する可能性について議論する環境を整えていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度中に予定していたWeimarにおける資料調査を、Anna-Amalia-Bibliothekとの調整の結果、今年の5月に集中的に行うことになった。そのため、当該の旅費等を次年度に送ることを決定した。
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次年度使用額の使用計画 |
Weimarにおける研究遂行のための旅費、資料作成代金等。
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