研究課題/領域番号 |
26370398
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
井戸田 総一郎 明治大学, 文学部, 専任教授 (40095576)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ニーチェ / 韻文 / 文献学 / 模倣 / 継承 / テオクリトス |
研究実績の概要 |
188年、月刊雑誌“Internationale Monatsschrift-Zeitschrift fuer allgemeine und nationale und deren Litteratur“ に掲載された“Idyllen aus Messina“(8つの詩から構成)に関して、これまでの不十分な研究状況を批判し、新しい解釈の可能性の道筋を提示するために以下の点について分析を遂行した。 1. “Idyllen aus Messina“の掲載形態を巡るニーチェと雑誌刊行者シュマイツナーの書簡に関するPodachの研究成果の継承の重要性。 2. “Idyllen aus Messina“に関する以下のニーチェ書簡の再読。Theo Meyer などによるこれまでの解釈に対する批判的検討を行った。1) 1886年10月31日ケーゼリッツ宛書簡 2) 1882年7月13日ケーゼリッツ宛書簡 3) 1882年9月16日ケーゼリッツ宛書簡及び1882年12月20日オーヴァベック宛書簡 4) 1882年1月中旬イーダ・オーヴァベック宛書簡及び1882年8月4日ル・ザロメ宛書簡 5) 1882年11月末ル・ザロメ宛書簡 3. “Idyllen aus Messina“ を構成する8つの詩の連関を分析する上で、ニーチェの構想の基になっているテオクリトスの『牧歌』に関する考察の重要性。特に、ニーチェの書き込み等が残る『牧歌』のテキストの分析から、テオクリトスへのニーチェの接近及び脱却の運動性(パロディア)を再現した。 以上の成果を、2018年1月にフライブルク大学において講演した。この講演原稿を基に論文“NIETZSCHES IDYLLEN AUS MESSINA. Zu einer neuen kritischen Lektuere“を完成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
フライブルク大学のニーチェ註解プロジェクトとの密接な関係の構築に成功し、2018年1月に同大学において本研究の成果を発表することができた。この講演内容を基に論文“NIETZSCHES IDYLLEN AUS MESSINA. Zu einer neuen kritischen Lektuere“を完成、2018年度中に新しいシリーズ“Nietzsche-Lektueren“ (de Gruyter社刊行)のなかで掲載予定である。申請者は、これまでのニーチェ研究に対する評価として、この新シリーズの学術顧問に選ばれ、本研究を国際的なレベルで推進できる環境を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
1."Idyllen aus Messina"の全体の構成について、アンナ・アマーリア図書館所蔵のテオクリトス『牧歌』(ニーチェの書き込み等が存在)の分析を進める。 2.テオクリトスの『牧歌』に関するヨーロッパにおける論争がニーチェの詩の解釈に影響を与えており、この点も含めてニーチェ読解の新しい視点を提示する。 3.2018年度中に上記のテーマをまとめ、フライブルク大学において発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度の招聘予定であったフライブルク大学教授Urs Sommer氏が事情で来日できなかったため。同氏を2018年9月に招聘することが決まっている。
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