研究実績の概要 |
A、B二つのアンソロジーを用いてフィルタリング用の都市インフラ関連語彙リスト作成の作業が進んだ(A: Fuenfzig Gedichte des Expressionnismus. Stuttgart, 2002. B: Gedichte des Expressionismus. Stuttgart 1991.)。それぞれの使用語彙を塊化し、品詞ごとにおおまかに分けて語形変化を取り除いてから重要語彙の拾い出しを行った。テキストファイル資料の拡充については[Gutenberg.de]Edition12(DVD版)から8924個のファイルを拾い上げることで累積2万超のドイツ詩テキストファイルを集約した。これらの作業で実践したunixのコマンドを使ったテキストファイル処理方法の概要について、その意義・効果を主張しながら口頭発表した。 表現主義のアンソロジーに加えて、Grossstadtlyrik(Reclam, 1999)等のアンソロジーからBahn, Bahnhof, Eisen, Berlinなどのキーワードでファイルを集約、それぞれ塊化して語彙の傾きを比較した。この検討で明るい色彩はなく黒が基調の色であること、鉄による曲げた造形が斬新であったはずの駅舎にいながらその構造・素材には注意が払われていないこと、20世紀初頭までに整備された高架鉄道・地下鉄なども詩語になっていないことが見て取れ、これを踏まえて表現主義詩人の使用語彙について論文化の準備を進めている。 テキストデータベースの文学研究への応用については、テキストを収めるフォルダの束ね方を変えて、作品群を一塊の語彙群にして観察する方法の効力をトラークルの連作研究で確認し、特に第1連作をまとめる働きをしているKaspar Hauserの詩が直前の小風景詩と組み合わされる構成法を使用語彙比較で明らかにして論文発表した。
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