研究課題/領域番号 |
26370404
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
伊藤 美重子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (40251871)
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研究分担者 |
岩崎 千鶴(荻原千鶴) お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (20109226)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 敦煌文献 / 中国説話 / 日本説話 |
研究実績の概要 |
敦煌文献の中に含まれる説話に関する文献、とくに中国と日本にまたがる説話を含む文献についての基礎資料の作成に着手した。26年度は、研究代表者(伊藤美重子)、研究分担者(荻原千鶴)と研究協力者(三瓶はるみ・和田和子・塚越千史・森田さくら・水口由美子・満田琴美)の8名による研究会を組織し、各自分担する文献をきめ、訳注作成の作業を開始した。研究会は月一回開催され、各自が自分の作業の進捗状況の報告を行い、作業上の問題点などを持ち寄り、皆でそれらを検討した。訳注作成の作業は、各文献についての先行研究の検討、鈔本状況の精査、底本の確定、各鈔本との照合、先行する校注本、注釈本などとの照合を経ての語釈・注釈・日本語訳の作成である。26年度では「茶酒論」「韓朋賦」「葉浄能詩」については、出典となる日本説話文献についてのより深い調査を除けば、他の作業はほぼ完了している。27年度は、日本文学を専門とする研究分担者とともに日本説話との関連の部分についての更なる調査研究を継続し、新たに判明した部分については、当該文献の担当者がその成果を論文などの形で発信する予定である。当初の計画では、仏教以外の説話を扱う予定であったが、世俗的説話の中に因果応報などの仏教思想がとけ込んでいる事が多く、現在、代表者は仏教経典の世俗化という問題に取り組んでいる。26年度は「醜女縁起」についてその出典となった仏教経典がいかに世俗化するかという問題に関して調査しその成果を論文として発表の予定である。 敦煌文献にみえる説話は日本にも伝えられていることが多く、今後は日本文学を専門とする研究分担者とともに日本説話との関連についてより重点をおき調査研究を進めるとともに、まだ訳注作成に着手していない文献についての作業にも尽力したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画の「茶酒論」「韓朋賦」については、出典となる日本説話文献についてはまだ調査が不十分な点はあるものの、訳注作業はほぼ完遂した。当初計画の「孔子項託相問書」は担当者の都合により「葉浄能詩」に変更し、その訳注はほぼ完成している。毎月一回の研究会で各文献の担当者からだされる問題点を共有することで、訳注に対する共通認識が深まり、作業効率および作業精度が上昇している。
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今後の研究の推進方策 |
26年度に完遂できなかった部分とくに出典となる文献の調査研究を継続するとともに、27年度より研究協力者が新たに1名加わり、「王昭君変文」を担当する予定である。 計画はほぼ順調に進んでおり、27年度も前年度と同様に月1回の研究会にて互いの情報を交換し、各自担当の文献の調査研究の精度を上げてゆく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品の予定額が実際より低かったため端数が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
小額なので来年度の計画は当初の計画通りに進める。
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