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2014 年度 実施状況報告書

現存『柳宗元集』南宋諸版本の実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 26370409
研究機関島根大学

研究代表者

戸崎 哲彦  島根大学, 法文学部, 教授 (40183876)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード韓醇 / 詁訓唐柳先生文集 / 柳宗元 / 四庫全書薈要本 / 王咨 / 沈晦 / 四庫底本
研究実績の概要

『柳宗元』宋刊本中で先ず韓醇詁訓本から着手し、以下の知見を得た。
1)清乾隆帝天禄琳琅旧蔵宋刊本は佚亡しているがその抄本が4部現存する。通行本は四庫全書の文淵閣本であるが、その他に文津閣本、四庫底本、薈要本がある。2)この中で薈要本は殆ど知られておらず、従って使用されていないが、極めて貴重である。王咨「序」を収めており、『天禄琳琅書目』が引く86字しか知られていなかったが、全文500余字を校勘した。3)四抄本には沈晦『外集』2巻と韓醇による補遺「新編外集」1巻が附録されているが、名称・編次ともに錯乱しており、四庫底本(マイクロフィルムによる)中の書き込みと『書目』に拠って復元した。4)薈要本と四庫底本のみ毎巻首行に標題と収録数が書かれており、これと他の宋刊本『百家註本』系統・『音辯本』等によって共通の底本である沈晦編四十五巻・外集二巻の全容をほぼ知ることができた。但し毎巻首行の篇数と実際の収録数とには異同があり、註文・沈「序」や他本の編次・註文等との対校を経て沈晦本「惣六百七十四篇」を復元した。5)薈要本には数巻毎に校勘記があり、それにいう「刊本」と四庫底本によって韓醇『詁訓本』を復元する方法を提示した。諸本と対校した結果、文淵閣本は刊本にかなり忠実であるが、文津閣本には『音辯本』が部分的に用いられていることが判明した。6)韓醇『詁訓本』と『百家註本』・『鄭定本』等に引く韓註との対校の結果、『百家註本』等に引用する韓註で長文で詳細である例が少なくないこと、また巻1の収載と篇次が相違すること等によって、『詁訓本』には少なくとも二種が存在したことを考証した。7)天禄琳琅旧蔵宋刊本つまり現存する四抄本の底本は韓醇『詁訓本』原本ではなく、蜀の書坊が取捨した上で集註し、かつ改編・加篇して、嘉定十三年(1220)・淳祐九年(1249)の間に刊行した重修本ではないかという仮説を提示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究は順調にして成果も得ている。
すでに得た成果の一部は学術論文、国際学会において発表することを予定している。

今後の研究の推進方策

韓醇『詁訓本』はすでに刊本が失われているために等閑視されてきたが、このたび中国国家図書館蔵の四庫底本(マイクロフィルム)を見ることができ、また薈要本影印本を入手して比較することによって望外の収穫があり、全巻全文に及ぶ校勘を行う必要を感じた。しかしこの作業に集中すれば、本申請の課題からはややズレることになり、また時間と予算の域を越えるので改めて申請することとして、『詁訓本』では成立に関する仮説を補足したい。
さらに、今後は他の宋刊本について、すでに資料の収集できているものから開始する。なお、現時点では『音辯本』の資料が最も進んでいる。また、今年度開催予定の柳宗元国際学術研討会(中国運城市、10月)での参加発表に向けて論文の執筆を開始する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] 『增廣註釋音辯唐柳先生集』『朱文公校昌黎先生集』合刊初考(上)2015

    • 著者名/発表者名
      戸崎哲彦
    • 雑誌名

      『島大言語文化』

      巻: 38 ページ: 37-90

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 『增廣註釋音辯唐柳先生集』43巻12行本考2014

    • 著者名/発表者名
      戸崎哲彦
    • 雑誌名

      『島大言語文化』

      巻: 37 ページ: 15-55

    • オープンアクセス

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公開日: 2016-05-27  

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