本研究は、日本の植民地時期の1920-30年代と、戦後に国民党が台湾に渡って再植民地化した1950-70年代に、中国経由で渡った2度の大正文学の影響が台湾にあることを実証することを目指した。しかし、2015年の天理大学と輔仁大学の国際学会での発表を通し、台湾での中国新文学運動の影響は定説で宣伝されるほどは大きくないことが判明した。そこで、中華民国期の日本に留学した知識人が中国に帰国し、戦後台湾に中国国民党と共に渡来し、普及させた大正主義(生命主義と民主主義の総称)の実像の解明に挑むことになった。そのために、本研究では、先に大陸・中国での大正主義の受容とその崩壊がどのように進行したかを解明した。
|