本グループは、口承文藝の研究によって中国文化史理解の深化に貢献することをめざし、2008年度以来、宝巻を中心に中国近世以来の語りものの研究を行なってきた。テキストの読解を行なう一方、テキストをとりまく状況を知るため、浙江省における実地調査を研究の柱としている。 本研究では、主たる調査拠点を金華に定め、語りもの「金華道情」について、実演の観察、藝能者への聞き取りとテキストの翻訳を行なった。その結果、主に盲目の藝能者が担ってきたこの藝能に、文字というフィルターを通しては見えにくい中国基層の文化の特徴を見出すことができた。 本研究期間中には、また宝巻や浙江の蚕歌について研究成果を公表した。
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