研究課題/領域番号 |
26370419
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
牛 承彪 関西外国語大学, 英語国際学部, 准教授 (20460842)
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研究分担者 |
櫻井 龍彦 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (60170643)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 中国トン族 / 歌垣 / 鼓楼大歌 / 行歌坐夜 / 歌会 / 祭薩 / 民俗 |
研究実績の概要 |
2014年8月(13日間)と2015年2月(11日間)、二回にわたって中国に赴いて実地調査を行い、以下の成果を収めることができた。 (1)貴州省天柱県において、歌垣的行事である「歌会」をめぐって、三つの「歌場」(三門塘・岩湾・渓口)で行われた歌掛け行事を直接観察し、現存するほかの四か所の「歌場」(阿婆墺・抱塘・両頭墺・細界)を踏査した。(2)貴州省黎平県において、「鼓楼大歌」をめぐって、四つの村(永従郷三龍村・岩洞郷竹坪村・岩洞郷岑卜村・岩洞郷岩洞村)で行われた歌掛け行事を直接観察した。(3)黎平県において、「鼓楼大歌」と関連する行事として、三つの村(永従郷三龍村・茅坪郷地捫村・龍額郷六甲村)で行われた「祭薩」行事を直接観察した。 調査終了後は、すぐに行事を記録した動画・写真・音声資料の整理作業(文字整理を含めて)を始めた。今後の分析・研究における重要な材料になる。 調査期間中には、歌掛け行事の背景をめぐって聞き取りを行った。とりわけ天柱県「四十八寨」の「歌会」の歴史や生業をめぐる聞き取りは豊富な内容を含んでいる。また「歌会」に参加するために用いられた「歌本」を収集することができ、文字起こし作業もほぼ完了している。「歌会」の全体的様相を究明するための有力な資料になる。調査地における、村の環境・建造物・石碑などを含めた多くの写真資料も、歌掛け行事の発生と伝承とかかわる環境・生活・信仰・習俗などを考察する重要な手掛かりになる。 今後は文字整理作業を完成させ、分析・研究を進めていくつもりである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の目的である、歌掛け行事の「実態」を研究するにあたって、直接観察は最重要な手段である。実地調査は短い期間であったが、これほど多くの行事を直接観察することができたことは幸いであり、大きな成果へとつながる。行事の進行過程や関係状況については、可能な限り、動画・写真・録音の手段で記録し、豊富な第一次資料を収集した。 実地調査終了後は、資料の文字起こしを含め、整理作業を着々と進めているので、研究成果は確実なものになると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
二回にわたる実地調査において、膨大な資料を収集することができた。これらの成果を十分に消化し、研究に活用できるようにするためには文字整理と資料についての分析が必要である。これからは整理作業を継続しながら、分析を行い、補足調査が必要な部分は、今後の研究計画に組み込むことにしたいと思う。
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次年度使用額が生じた理由 |
文字整理への報酬を支払うための金額は、年度内の残額では不足のため、残額を残し、支払いを次年度へ延ばすことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
残額と次年度費用の一部を合わせて、文字整理への報酬を支払うことにする。
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