研究課題/領域番号 |
26370422
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
中村 史 小樽商科大学, 商学部, 教授 (20271736)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マハーバーラタ / 神話 / 叙事詩 / 語り物 / 枠物語 / インド |
研究実績の概要 |
古代インド成立の巨大なサンスクリット叙事詩『マハーバーラタ』のうち、第13巻の文学研究、神話の研究を、当該年度には一区切りのところまで進めた。当該年度、具体的には、『マハーバーラタ』第13巻全166章(キンジャワデカル版による。批判版では全152章)の概観について、学会(日本印度学仏教学会)口頭発表、学会誌論文掲載、学内誌論文掲載を行なった。また、個別の1章の前半「七仙人の名乗り」(キンジャワデカル版・第93章、批判版・第95章に対応)和訳研究の学内誌論文掲載を行なった。 そして、以上の当該年度の研究成果と、先立つ準備段階の数年間に蓄積していた『マハーバーラタ』第13巻の5(~6)章分あるいは5(~6)神話・説話分の考察、該当の5(~6)章分あるいは5(~6)神話・説話分の和訳研究を修正・加筆し、さらに序章・終章による総論を執筆して、博士論文『サンスクリット叙事詩『マハーバーラタ』第13巻の文学研究』を作成した。この博士論文を北海道大学文学研究科に提出し、インド哲学・仏教学他の専門家による審査に合格し、この博士論文によって「博士(文学)」の学位を授与された。 『マハーバーラタ』第13巻については、これまでに本格的なまとまった研究はなかった。現代語訳も100年程前の古い英訳があるのみであり、鳥瞰や把握さえも困難であった。部分的にインド哲学(特にサーンキヤ哲学)の研究者が取り上げることがあるばかりであった。そのような研究状況の中で、今回の博士論文は、『マハーバーラタ』第13巻の全体的把握と、それのみならず、これをいかに文学(口承文芸・語り物)として理解するか、これによっていかにインド神話を研究するか等について新たな解釈やとらえ方を提示したものである。 続く年度(平成27年度)には、この博士論文を改稿し、出版するために作業を続けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、当初より、『マハーバーラタ』第13巻について、本研究期間の1年目に博士論文完成によって一旦区切りを付け、2年目にこれを研究書として出版することを予定していた。この計画が滞り無く進行している。したがって、達成の程度としては、順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、まず、既に受理され、研究書として改稿中の博士論文の出版作業を進める。また、博士論文作成の過程において、端緒を見出したが、具体的に考察・研究を行うことができなかった『マハーバーラタ』第13巻第93章後半「七仙人の真実の誓い」について、考察・研究を行ってゆく。 また、将来的には、『マハーバーラタ』他巻についても、神話・説話、口承文芸・語り物、あるいは構想等の点で、文学としての研究がいかに可能であるか、模索してゆく。
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